女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




一歩足を踏み入れた瞬間、私は思わずわっと声を上げた。




「すごっ……」




そこはもう異世界と言っても過言ではなかった。

入ってすぐの玄関ホールにあるのはレトロなデザインの階段。横幅が大きな一段目から上にいくにつれて少しずつ狭まり、途中からは左右にぐるりと分かれて上の階に繋がっている。

さらにその天井は高く吹き抜けになっていて、見上げると一番上がステンドグラスになっている。


360度どこを見ても、住宅とは思えない美しさ。

そして極めつけは……




「ようこそおいでくださいました。律弥坊ちゃんの学校のお友達でございますね」




どこからか現れた、60代ぐらいの背筋が伸びた男性。洗練された空気を纏った老紳士という印象。

この人、加賀見先輩のことを「坊ちゃん」と言った。


そう、つまりこの人は多分あれだ。使用人、的なあれ。執事的なあれ。

花火大会のときに運転手さんがいるのは見たけれど、他にもこういう「いかにも」な人がいたんだ。