女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





学園祭での一件から、加賀見先輩とは一度も会っていない。

代休もあったし、実行委員は学園祭後もいろいろと仕事があるのか忙しそうにしていたし。


そんな中でのお誘いは、驚きと同時に嬉しかった。




「い、家に? 良いんですか?」


『ああ。誕生日プレゼントも渡せていなかったしな』


「わあ、ちょうどよかった! 先輩、一年生のときの模試の過去問残してませんか? あったら見せてほしいと思ってたところだったんです」


『ん? え、ああ……わかった……』




……こんな調子で、後から思えば何とも色気のないやりとりで約束を取り付けたのだった。

とにもかくにも、このときはちょっと浮かれた気分だったのだけど。


そのふわふわ気分は、その約30秒後に消えうせた。

二つのもやもやが頭に浮かんだのだ。


一つ目のもやもやは……



「か、加賀見家ってどんなんだろ……」




未知の豪邸への恐怖。