女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




私はきっと、この人のそういう部分に惹かれていた。


私の言葉を聞いて、加賀見先輩はどことなく照れくさそうに目を逸らした。

それからついでに話も逸らした。




「ああ、そうだ。今日は川咲の誕生日だったよな。おめでとう」




……何の脈絡もなく祝われてしまった。

恥ずかしさを誤魔化すために話を変えたのは確かだと思うけれど、予想していない言葉だった。

私は驚いてパチパチと何度かまばたきをする。




「えっ……何で誕生日知ってるんですか?」


「それはまあ、企業秘密だ」


「いや気になるんですけれども」


「誕生日プレゼントも用意していたんだが、あいにく家に置いてきてしまってな。また今度渡す」


「買ってくれてるんですか!? わ、先輩大好き」


「き、気軽に言ってくれるな……」




誕生日を知っていてくれたこと、プレゼントを用意してくれていたこと。

そして誕生日という特別な日に、こうやって一緒にいられること。

何だかもう、全部が嬉しくて仕方ない。