女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




先輩は少し笑顔を引きつらせた。

そして恐る恐る、窺うように聞いてくる。




「明日になって『やっぱり勘違いでした』って言うのは無しだからな? もう言質は取ったぞ?」


「ちょっと、私そんなに信用ないですか?」


「しょうがないだろ。川咲には出会った瞬間から今まで、かっこ悪いところばかり見られているような気がするし」


「……それはまあ」


「否定するフリぐらいしてくれても良かったんだが」




だって先輩、初めて会った日は葉っぱまみれになって気絶してたし。

今だって、ちゃんと告白されたというよりは、全然その気がなかったのに偶発的に聞かれてしまったという感じがするし。




「かっこ悪いところをたくさん見せられたのは事実じゃないですか」


「おい」


「でもそれ以上に、先輩のかっこいいところたくさん見てますから」




真面目で、何事にも一生懸命なところとか。

苦手なものにも向き合って、逃げようとしないところとか。

人のことをよく見ていて、良いと思ったことをまっすぐ褒めてくれるところとか。