女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




先輩は「人の顔ってここまで赤くなるんだ」と感心してしまうぐらいに顔を真っ赤にさせており、それを私に見られまいと抵抗するように左手で口元を覆う。




「本当に見ないでくれ。さすがにかっこ悪すぎる」


「先輩。さっきのあれは本音なんですか?」




私はゆっくりとベッドに腰を下ろし、軽く深呼吸をしてから聞いた。

加賀見先輩は諦めたようにまた体を起こし、ものすごく不服そうな顔をする。




「っ、あんなこと……冗談で言うわけがないだろ」


「まあ、それもそうですね」


「ああくそ。川咲、いくら払ったら忘れてくれる? 言い値で払うぞ」


「何お金で解決しようとしてるんですかこの富裕層め」




いったいいくらまで出してくれるつもりだろう。

少し気になるところだけど、私は軽く首を振って微笑んだ。というか、勝手に口角が上がった。



「忘れませんよ! 嬉しかったんですから!」


「は……? 嬉しかっ……た……?」


「だって私も好きですから。加賀見先輩のこと」