女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




こんな条件が揃ってしまったら、今私がするべきことなんて一つしかないじゃないか。

別にダメだったらダメだったでいいんだ。落ち込むことじゃない。あの天ヶ瀬先輩でも彼女さんに何回もフラれてるんだから。


……ああ、でもこういうのって、どう切り出せばいいんだろう。


先輩は体調不良で倒れて休んでいる最中。累くんによれば、既に回復してはいるようだけど。

とりあえず「調子はどうですか?」と声を掛けるところから始めて、何か良い感じの雰囲気になるように会話を運んでいく。



……できるのか? 私にそんな器用な技。

というか、倒れたのってやっぱり女性関連なのだろうか。祭りの人混みにもまれるうち不意に女子に抱き着かれてしまったとか。もしくは学園祭でテンションが上がっていた子に逆ナンされたとか。


そんな感じのことを色々と考えていたせいで、いつの間にか私は、黙って静かに先輩が横になっているベッドに近づく怪しい女になっていた。