女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




『累くん?』


「瀬那、今どこ?」


『第三ステージの近く。ごめん、待ち合わせの時間もうすぐだよね。ちょっと今人を探してて……』


「加賀見律弥先輩がさ」




遮るようにしてその名前を出した。

その瞬間、電話の向こう側で瀬那が息を飲むのがわかった。




「加賀見律弥先輩がさ、さっき体調悪かったみたいで、倒れてたんだよね」


『えっ』


「だから保健室に連れてったよ。ちょっと横になったらもうすっかり回復したって。だから瀬那は安心して待ち合わせ場所に来て。オレもすぐ行く。じゃあまた後で」




一方的に電話を切り、もう一度大きく息をついた。

瀬那が何度か掛けなおしてくれているようでスマホが震えているけれど、とりあえず無視する。


もし彼女が、まっすぐオレとの待ち合わせ場所に来てくれたら……オレは今まで通り、振り向いてもらえるまで愚直にアプローチを続けるだけだ。

だけど彼女が保健室に、加賀見律弥の元へ来たのなら、そのときは──