サラサラと言葉を並べたオレは、そこでいったん口を閉じ、自分でもよくわかる意地の悪い笑みを浮かべた。
「もし今後瀬那と同じように恐怖を感じない相手が現れたら、……その人のこともまた同じように好きにならない保証はありますか?」
「は……」
期待通りの面食らった顔をしてくれる。
その表情を確認したオレはわざとらしく立ち上がり、まだその答えは言わせまいとした。
「喉渇きましたね。お茶か何か買ってきます。先輩の分もちゃんと買ってきてあげますね。……その間に、今の質問、ゆっくり考えてみてください」
そう言うだけ言って、オレは保健室を出る。
バタンと戸を閉めたその瞬間、無意識のうちに大きなため息がこぼれた。
それから、緩慢な動きでポケットからスマートフォンを取り出す。
……オレは今から一つ、賭けをする。
画面を何度かタップし、耳に当てる。
数回呼び出し音が鳴った後、大好きな人の声が聞こえた。



