瀬那と出会ったときのことを思い出しでもしているのだろうか。
加賀見律弥は懐かしむように目を細め、それからまた意志の強そうな眼光をこちらに向けた。
「最初はただ純粋に女性恐怖症を克服する目的のためだけに川咲と二人きりになったり、手に触れさせてもらったりしていた。だがいつからだったか、下心が混ざるようになった自覚はある。ズルいというのもわかっている」
「……あっさり開き直るじゃないですか」
「ああ。色々と考えたが、多少ズルかったとしても、それが彼女の気持ちをこちらに向けるきっかけになるならそれでいいと今は思っている。あいにくこの体質のせいで恋愛なんて縁が無かったからな。正攻法なんて知らない」
オレはぐっと奥歯を噛み締めた。
この男の気持ちは予想していた。それが今、やっとはっきり口に出された。
こいつがオレに女性恐怖症のことを伝えたのは、こうやって宣戦布告するためだった、ということか。



