女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





「はぁ? 女性恐怖症?」




どうにか保健室にたどり着いたものの、数人いるはずの学校医は出払っていた。

先に様子を見に行ってくれていた三人組の女子が、学園祭のせいで職員たちもイレギュラーな動きをしているようだと教えてくれた。


加賀見律弥を空いていたベッドに寝かせる頃にはすっかり疲れ切ってしまい、近くにあった椅子に腰を下ろした。

それでオレは何の気なしに「何か持病でもあるのか」と尋ねたのだが……それに対して返ってきた答えが想像の斜め上だったので、思わず裏返った声で聞き返したのだった。




「つまり、女子に触られたせいで発作起こしたとでも言いたいんですか? 何の冗談だよ」


「ああ……冗談だったら良かったんだがな……」




その疲れ切った遠い目を見るに、嘘をついているわけではなさそうだ。まあ、そもそもそんな訳の分からない嘘をつく理由はないのだげれど。

でもオレがイメージしていた女性恐怖症は、女慣れしてなくて上手く会話できない……ぐらいのものだったのだが。


女性に触れられただけであそこまでパニックになる人なんてのは初めて見た。