女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





「え、えっと、わたしたちもよく……話していたら突然苦しみ出してしまって……」


「そうですか。とりあえず保健室に運ぶから、先生に知らせてきてもらえますか」


「は、はい」




不安そうな面持ちの女子三人見送り、相変わらず苦しそうな呼吸を続ける男に視線をやった。よく見れば顔は真っ青だ。


……さて、どうするか。




「運ぶと言ったものの、見ての通り細身のオレに男子高校生一人持ち上げるほどの力無いんですけど。というわけで立ってください」




オレがそう言うと、加賀見律弥はうっすらと開いた目でこちらを見上げる。




「……岸井……累」


「ほら。オレは優しいんで、いくら大嫌いなあんたでも肩ぐらい貸します」


「悪い……」




素直につかまってきた加賀見律弥を見て、静かに息をつく。


好きな人とのデート直前にして、とんだ面倒事に巻き込まれたものだ。

もしかしてオレ、普段の行い悪いのだろうか。