あーあ。あの女、迷惑そうにされているのが見えていないのだろうか。
どこの家のご令嬢か知らないけど、くだらないところで機嫌損ねたら後々の関係性に響くんじゃないのか。
まあ、あの人はそういうことには慣れているだろうし、別に気にも留めないか。
そう思って、いい加減目を逸らそうとしたときだった。
加賀見律弥が、囲んでいた女子たちの前で突然ふらついた。
「え、おい」
ちょっとバランスを崩したとかそういうレベルじゃない。
足からガクンと崩れて、そのまま倒れ込んでしまいそうに見えた。
──オレは反射的に走り出した。
囲んでいた女子たちは悲鳴を上げ、戸惑った様子で顔を見合わせている。
「おい、大丈夫かよあんた」
加賀見律弥は両膝をついた状態で、肩を大きく上下に動かし、苦しそうな呼吸を繰り返していた。
何があったのかと女子たちに尋ねると、全員そろって首を振る。



