女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「そりゃあそうでしょ……」


「でも、結果的に今リミは僕の彼女になってる。過去に何回拒絶されて傷ついたとしても、今の結果が全てだと思わない?」




天ヶ瀬先輩はにやりと歯を見せて笑った。


自分は何度フラれても諦めなかったんだから、お前もとりあえず当たって砕けてみろ。

要するに、そういうことが言いたいのだろう。



……簡単に言ってくれるじゃないか。

誰もが天ヶ瀬先輩みたいにメンタルが強いわけではないのに。


でも、上等だ。




「私、とりあえず加賀見先輩に会ってきます」


「うん。この時間なら第三ステージの見回りしてるんじゃないかな」


「ありがとうございます! ごちそうさまでした!」




私はそう言ってすぐに走り出した。




ああそれと。

今日見た、加賀見先輩と美少女ミツキさんがキスをしていた夢。

あれは墓場まで持っていきます──。