さすがにこれだけでは盛り上がりに欠けてしまう。
そう危惧した実行委員たちは、仕方なく数合わせに自分たちでエントリーすることにした。
運悪くくじ引きで負けた加賀見先輩はカップルコンテストに出ることになったものの、注目を浴びるステージ上で女子とカップルのフリなんてどうあがいても無理な話。
それで、女性っぽい顔立ちをしている上に事情を知っている天ヶ瀬先輩に泣きついた。……そういうことらしい。
「人数合わせが必要なら僕がリミと出るって言ったんだけど、外部の人はダメだって言うからさ」
「……そういうことだったんですか」
今私が抱えている感情。これは何と説明すれば良いだろう。
一人で勘違いして落ち込んでいたことへの羞恥、そしてあの美少女が決して加賀見先輩の恋人でなかったということへの安堵。その二つがぐちゃぐちゃに入り混じっている感じ。
そんな私の顔を見た天ヶ瀬先輩はふっと笑った。



