女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





紹介されたリミさんは、こちらに向かって恭しく頭を下げた。


このクールビューティーがメイドさんだと。

それだけでも少し意外なのに、さらに天ヶ瀬先輩の恋人とな。超意外。




「へえ、なるほど。つまり先輩は、お家のメイドさんに手を出したと」


「……いや、うん、間違ってはないんだけど……悪意ある言い方するね。幼なじみなんだよ」




天ヶ瀬先輩は苦笑いしながらそう言い、今度はリミさんに私を紹介した。




「リミ、こちらは後輩の川咲瀬那さん」


「川咲様。いつも充希(みつき)様がお世話になっております」


「え、あ、こちらこそ」



丁寧に頭を下げられて、面食らいつつもお辞儀を返す。


……だけど、何かが引っかかってピタリと動きを止めた。




「……ん? あれ、今何て言いました?」


「充希様がお世話になっております」


「み、ミツキ様……?」




ミツキ。それは、加賀見先輩とカップルコンテストに出ていた、美少女の名前。