女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




あの女性が本当に加賀見先輩の恋人か婚約者なら、親友の天ヶ瀬先輩は何か知っているはずだ。

どんなことでもいい。ミツキさんの情報が欲しい。

知ってどうするのかと聞かれても困るけれど、知りたいのだ。




「川咲嬢、あのコンテスト見てたんだ」


「はい」


「……うん、知ってるよ。加賀見とペアで出てた人のことはよく知ってる」




私はごくりと唾を飲み込んで、じっと天ヶ瀬先輩の答えを待つ。

だけど彼は焦らすように、にこりと笑みを浮かべる。




「でも、どうして知りたいの?」


「え」


「嫉妬?」


「……そうでしょうね、きっと」




どうしよう。驚くほど正直に答えてしまった。

だけどここまで来たら、下手に隠し立てすることもない気がしてきた。




「好きな人があんな綺麗な女性とカップルコンテストなんて出てたら誰でも気になるでしょ」




というわけで、完全に開き直ってみせた。

すると天ヶ瀬先輩は、すっと顔を俯かせたかと思うと……大爆笑していた。