女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




先輩たちは企画書的な書類の束を持ちながら何かを話し合っている。当日の確認をしているのだろうか。とても真剣な雰囲気で、モテてるとかそういう浮ついた感じではない。


……それはそれとして、あの距離で女子に囲まれてるのは普通に心配だけれど。大丈夫かな。

さすがに顔色が悪いかどうかまではわからないけど、あんまり長時間は耐えられないのではないだろうか。上手く切り上げて逃げられるといいけど。


ついつい気になってしまい、私はそのまま観察を続ける。


うん、今のところまだまだ平気そう。

一学期は私とあれだけ練習してきたわけだし、多少は女性に慣れたのかな。


……と思いきや、今さりげなく一歩離れたな。あれ、なんかどんどん女子たちと距離開いてきてますよ。もうちょい頑張ってください。




「ふふ」




笑いごとじゃないけれど、先輩を見ているうちに自然と笑みがこぼれた。



それと同時に──視界が、カーテンで遮られた。




「累くん?」


「外、眩しかったから」




そう言って、閉めたカーテンからパッと手を離した累くんは、悲しそうな顔をしているように見えた。