女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





少し前までとは真逆のことを思い始めた頃、ふと立ち止まった加賀見先輩が、まっすぐ前を指をさしながら振り返った。




「向こうの公園、人が集まっているみたいだ。花火、見えるのかもしれない」




指された先を見ると、そこまで大きくない公園に確かにたくさんの人がいる。


そこを目指して歩いていくと、高い建物が消えて少しずつ視界が開けてくる。

そして公園の敷地内にちょうど足を踏み入れた瞬間、大きなオレンジ色の花火が開いた。




「わあっ」




お預けを食らっていた分、その感動はひとしおだ。

やっぱり見られて良かった。どうしてさっき「花火なんてどうでもよくなってきた」んだよ自分。夏休み始まってからずっと楽しみにしてたんだから。




「綺麗だな……」


「はい……」




先輩もようやく見られた花火が嬉しいのか、私の手を握る力にぎゅっと力がこもった。