女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




言われて前方を見れば、確かにずらっと車の列が続いていた。

そういえば先ほどから、車はあまり動いていなかったような気がする。


私と加賀見先輩は思わず顔を見合わせる。

時計を確認すると、最初の花火が上がる時間は迫ってきていた。




「迂回路は?」


「今日は花火大会の影響で、どこの道も混雑しています。開始時刻までにホテルに着くのは難しいでしょう」


「そうか……。すまない、時間の見通しが甘かった」




加賀見先輩が申し訳なさそうに頭を下げるので、私は慌てて首を振る。




「事故のことまで想定しておくのは絶対無理ですって! もしかしたら渋滞はすぐ解消されるかもしれませんし、とりあえず心配されないようにご家族や天ヶ瀬先輩に連絡を入れておいたらどうでしょう!」





だけど、残念ながら渋滞が解消される様子は一向に見られなかった。

そのうちに、花火の打ち上がるドンドンという音が聞こえてきた。