人魚の鼓動はあなたに捧ぐ




 突飛な質問。

 中学生くらいの子が、そういう空想を信じるものなのだろうか。

 でも少年の眼差しは真剣で、とても空想の話だとは思えない。


「……ちょっとだけ、信じる」


 正直、不老不死なんて存在するとは思っていない。

 でも、少年のことは信じたい。

 それに、死んだはずの人がまた生きているという異変が続いている以上、なにがあってもおかしくない。

 ……だから、それ故、『ちょっとだけ』だ。


「ちょっとだけ? ……お姉さんって、怖がりでしょ」


 わたしが言い切れない弱さもずるさも、見透かされてしまったみたいだ。


「……うん、そうだよ」

「やっぱりね……それなのに、ありがと」

「え?」

「おれのこと、助けてくれようとしたよね」


 そう。そうだ。わたしは助けようとした。

 でも、それを知っているってことは。


「昨夜のこと、覚えてるの?」

「……うっすら、だけどね」


 ──希望を掴んだような気持ちだった。

 ウロもサエキさんも、大切なことは教えてくれない。

 でも、この子なら、もしかしたら。


「なにか知ってるなら、教えて……! わたし、知りたいの。何が起きているのか……なんで殺されるのか、なんで生き返るのか──」


 ふいに、いつもの地鳴りが響く。

 次第に荒くなる波。

 そう、この地鳴りだって、不可解なことのひとつだ。

 わたしはこの島のことも、なにも知らない。