玉響の花雫    壱


『はぁ?嫌な時もそりゃありますよ。
 蓮見さんはお酒が強いから
 ついていけないんですよ。
 他の男性社員と行ったら
 いいんじゃないです?』


蓮見さんが先輩でも上司でも容赦ない
古平さんの応対に私がヒヤヒヤする。


でもなんとなく蓮見さんって
真面目に受け答えしてても
話しが終わらなさそうだからみんな
扱い方に慣れてる感じがした。


『俺と2人が気まずい?それな、
 筒井も呼ぶ?それで霞ちゃんも
 誰か誘ったらいいよ。
 うん、我ながらいい案!!
 滉一に声かけてこよーっと。』

「えっ?ちょっと‥えっ!?‥」


つ、筒井さんも!?


私が驚いた顔をしてると、蓮見さんと
目があった途端ニヤリと笑われた


『あーあ‥また始まった‥‥。いつも
 男女問わず飲みに誘うんだよね‥。
 でもあの人なりのコミュニケーション
 でさ、総務課が仲良いのは
 蓮見さんのおかげでもあるから。』


「そうなんですね‥確かにみんなに
 分け隔てなくって感じですが‥‥」


『でも仕事になると厳しいからね?』


ドキッ


素早く2回ほど頷くと、今になって焦ってきた。

本当に筒井さんを誘いに行ったのかな‥
どうしよう‥‥私1人は間がもたない‥


デスクで帰る準備をしていると、
スマホがタイミングよく
ライ◯の通知を知らせてくれて
開くと菖蒲からだった


【霞、お疲れ様。
 この後疲れてなかったら
 ご飯行かない?
 もう今日ご飯作るの面倒で。】


菖蒲!!
うん!ご飯に行きたい!!2人で!!


蓮見さんには菖蒲と用事があるからって断らないと‥‥‥

『あっ、ごめん見えちゃった。
 霞ちゃん意外に動くの早いね?
 そんなに俺らと行きたかった?』


えっ!?


菖蒲に返信しようとしていたら、
いつの間にか後ろに立っていた
蓮見さんに覗き込まれて
またニヤリと笑われる


「な、何言ってるんですか?
 違いますから。私は菖蒲と一緒に‥」



『それでいいの?‥滉一も来るよ?』


えっ?


『霞ちゃんとご飯に行くって言ったら、
 俺も行くだってさ?どうする?』


ど、どうするって言われても‥‥


『井崎さん。
 美味しいご飯奢ってもらったら
 さっさと帰ればいいよ。2人ともお酒
 強いから付き合ってたら
 日付変わるし無視して帰って?
 じゃあ私もお先でーす。
 井崎さん来週もよろしくね。
 蓮見さんくれぐれも
 ほどほどにしてあげてくださいね。』


「古平さん、お疲れ様です。
 1日ありがとうございました。」


パソコンの電源を落とした後、
古平さんがうーんと伸びをし手を振ると
フロアから出て行ってしまった。


『さ、て、と!
 俺も残りの仕事片付けるから
 霞ちゃんそこで少しだけ待ってて。
 そのお友達も誘っていいからね。』


「えっ!!蓮見さん!?」