私の場合は丸メガネが、魔力を抑える魔道具になっている。

今日の騎士団の厳戒態勢を見るに、顔がほとんど見えないと警戒されるかもしれない。

メガネを外して顔を見せろと言われて拒んだら、不審者に認定される。

顔を見られるのはまだいい。だが魔力が漏れ出るのは困る。

なのでメガネチェーンを付けて、顔から外したとしても肩に掛けて身に着けていられるようにした方が良いかもしれない。

そしたら身に着けてさえいれば魔道具の効力が持続するように、チェーンにも魔法を施さなければいけない。

早速、明日にでもチェーンを買うために街に出ようと決めて、宿の食堂で食事を済ませてお風呂に入ったら眠ることにする。

明日から私は騎士団の“普通”の家政婦になる。

何の力も持たない無力な家政婦に成りすまさなければいけない。