鬱陶しい背後の気配がすっかり消えた。
あんなに怖気に満ちていたのに
今は晴れやかなほど空気が澄んでいる。
もしかしたら神様にも呆れられたのかもしれない。
私の投げやりな姿勢が。
「永遠ちゃん待って。手繋ぎたい」
「どうぞ」
「ありがとう」
5本の指が絡みついてくる。
先輩はこの繋ぎ方がずいぶん好きらしい。
「う、うう…」
「どうしました。そんなに唸って」
「いや、だって…もう、無自覚なの?」
てのひらで口もとを覆っている羽生先輩。
耳が赤く染まっている。
今さら手繋ぎで照れているのだろうか。
「永遠ちゃんが…
僕のこと"大切なもの"って言った……」
「言いましたけど…」
「うれしい。僕はいま永遠ちゃんにとっての唯一なんだね。そっか、そっか」
「先輩の手すんごい熱いです」
「やめて言わないで。うぅ…こんなの死んじゃうよ…あぁ違う、僕もう死んでるんだった」
セルフツッコミ、笑えない。
あの羽生先輩がこの世界だから許されるブラックなこと言ってる。



