「わわっ、学校のみんなだけじゃなくて、町の人たちや警察の人たちまで追いかけてくるよ!」
「抜け道を通って、追っ手を振り切ろう!」
あたしと朔夜くんは脇目もふらず、ダッシュで逃げた。
そして、あたしは朔夜くんと手を繋いだまま、どこまでもどこまでも走り続けたんだ。
まるで風みたいに。
たとえ、これから先、どんな困難があっても、朔夜くんとなら乗り越えられると信じていたから。
「はあはあ……」
家の近くの公園まで来たところで、あたしは追っ手確認のために立ち止まる。
どうやら、誰も追いかけてきていないみたいだ。
「なんとか逃げ切れたみたい」
「……そうだね」
はあはあと肩で呼吸しながら、あたしと朔夜くんは言った。
ようやく悪夢のような逃走劇が終わり、日常が戻ってくる。
「病院の院長室までたどり着いたら、みんな、元に戻るのかな?」
「……多分」
あたしの質問に、朔夜くんは悩みながらも答えた。
だったら急いで、病院の院長室にたどり着かなくちゃ。
そう思っていたら。
「片岡さん、ようやく見つけたわよ!」
背後からの声に、あたしはびっくりして肩が跳ねる。
でも、あれ?
どこかで聞いたような声。
そう思って振り返ったら、そこには見たことがある顔。
結菜が――あすかみのり先生がそこに立っていたんだ。
厳しい表情を浮かべた朔夜くんは警戒するように言った。
「……なに?」
「決まっているでしょ。片岡さんを捕まえて、あの事故の真実を口止めするためよ」
はああああっ!!
この鬼ごっこって、欠席している人も参加しているの!!
それってつまり、つまり。
「あなたを捕まえれば、わたしたちの秘密が発覚することもないからね」
あすかみのり先生はあたしに氷のように冷たい目を向けた。
ああああ、やっぱり!!
ほんとに口止めって、いったい何をされるんだろう。
なんか怖いよ……。
でも、その恐怖は長続きしなかったんだ。
だって。
「杏、病院の院長室まで逃げ切ろう」
「うん」
朔夜くんがあたしの手を引っ張って駆け出してくれたからだ。
公園から出ることができたら。
きっと逃げ切ることが……。
「抜け道を通って、追っ手を振り切ろう!」
あたしと朔夜くんは脇目もふらず、ダッシュで逃げた。
そして、あたしは朔夜くんと手を繋いだまま、どこまでもどこまでも走り続けたんだ。
まるで風みたいに。
たとえ、これから先、どんな困難があっても、朔夜くんとなら乗り越えられると信じていたから。
「はあはあ……」
家の近くの公園まで来たところで、あたしは追っ手確認のために立ち止まる。
どうやら、誰も追いかけてきていないみたいだ。
「なんとか逃げ切れたみたい」
「……そうだね」
はあはあと肩で呼吸しながら、あたしと朔夜くんは言った。
ようやく悪夢のような逃走劇が終わり、日常が戻ってくる。
「病院の院長室までたどり着いたら、みんな、元に戻るのかな?」
「……多分」
あたしの質問に、朔夜くんは悩みながらも答えた。
だったら急いで、病院の院長室にたどり着かなくちゃ。
そう思っていたら。
「片岡さん、ようやく見つけたわよ!」
背後からの声に、あたしはびっくりして肩が跳ねる。
でも、あれ?
どこかで聞いたような声。
そう思って振り返ったら、そこには見たことがある顔。
結菜が――あすかみのり先生がそこに立っていたんだ。
厳しい表情を浮かべた朔夜くんは警戒するように言った。
「……なに?」
「決まっているでしょ。片岡さんを捕まえて、あの事故の真実を口止めするためよ」
はああああっ!!
この鬼ごっこって、欠席している人も参加しているの!!
それってつまり、つまり。
「あなたを捕まえれば、わたしたちの秘密が発覚することもないからね」
あすかみのり先生はあたしに氷のように冷たい目を向けた。
ああああ、やっぱり!!
ほんとに口止めって、いったい何をされるんだろう。
なんか怖いよ……。
でも、その恐怖は長続きしなかったんだ。
だって。
「杏、病院の院長室まで逃げ切ろう」
「うん」
朔夜くんがあたしの手を引っ張って駆け出してくれたからだ。
公園から出ることができたら。
きっと逃げ切ることが……。



