きっと消えない秋のせい


「すまん、すまん。先生が準備したスタンプはここだけだから、残りの場所はどこにあるのか、分からないんだ」

小林先生の思わぬ答えに、あたしは目を白黒させる。
うーん。
これってやっぱり、お願いごとの力に頼っちゃダメってことなんだね。
わーん、ごめんなさい!
頭の中で混乱していると、小林先生があたしの肩をぽんと叩いた。

「まあ、おまえたちなら、ヒントがなくても、何とかしてくれると期待しているからな」

そのいざぎよい小林先生の態度に、考人は毒気を抜かれたように肩を落としていた。

「もしかして、お願いごと?」
「うん。スタンプがある場所のヒントが分かったら、と思って……」
「……ふーん。ほんと、杏のお願いごとは無限大だな」

あたしははにかむ。
その微笑みには嬉しさも交ざっていたんだ。
えへへ。
嫌なことがあっても、考人の顔を見るだけで、心が浄化されそうな気がする。
とにかく、残りのスタンプは四個。
たとえ、一番になれなくても、ぜんぶ探し出してみせるんだから!
だけど、どうしたら……。
あたしは答えの出ない疑問に頭を悩ませていたけど。
でもでも、そこであることに気づいたんだ。
謎を解くための大発見ー!!

『すまん、すまん。先生が準備したスタンプはここだけだから、残りの場所はどこにあるのか、分からないんだ』

……そうだ。
小林先生は、自分が準備したスタンプの近くに立っていた。
つまり、先生たちが立っている場所の近くに、スタンプがあるかも。
あたしは確信を持って、その可能性を受け入れていた。

あたしたちは残りのスタンプを求めて、公園内を歩き回った。

「残りのスタンプ、もしかしたら先生たちの近くにあるかも」
「なるほどね」

あたしはヒヤヒヤしながら、先程の予想を打ち明ける。
すると、高柳さんは納得したようにうなずいた。

「小林先生の近くにあったんだから、他の先生の近くにあってもおかしくない」
「……そうだね」

高柳さんの言葉に、考人はうなずいた。

「よっしゃー、先生たちがいる場所めがけて行こうぜ!!」

通谷くんを先頭に、あたしたちは先生たちを探し回った。
先生たちがいる場所を探すと、次々とスタンプが見つかっていく。
わー!
すごく嬉しい!

「高柳さん。ウサギのスタンプ、かわいいねー」
「そうね。スタンプラリー、意外と楽しいかも」

あたしと高柳さんは顔を見合せる。
すごくウキウキして夢中になってしまう。