きっと消えない秋のせい


「当然、ここで終わりじゃねーよな! 巧、残りのスタンプ、ぜんぶ探し出そうぜ!」
「そうこなくちゃな、孝人! 俺たちの連携プレーをぶつけてやるぜー!!」

孝人の意図が伝わったのか、通谷くんは右手を上げてパシンっと合わせた。

……うん、そうだよね。
まだ、終わりじゃない!

孝人たちの熱意に、否応なしにあたしの胸が高鳴っていく。
だけど、それはあたしだけではなかった。

「片岡さん、わたしたちも頑張ろう」
「うん!」

高柳さんの言葉に、あたしは力強くうなずいた。
あたしたちの班は、スタンプラリーで一致団結した感じがする。
よーし、孝人たちの力になれるように頑張らなくちゃ!

「でも、どうしたら……」

そう思い悩んでいた時、突如、雨が降りだし始めた。

「ええっ!? なんで? 天気予報では晴れだったのに?」

あたしは目を瞬かせる。
ついてないっていうか、特大のため息が出るんだけど……。

「こりゃ、止みそうもないな。スタンプラリーは、今すぐ中止にした方がいいかもしれないな」

広場に立っていた小林先生も、困った表情を浮かべている。
うーん。どーにかしないと、せっかくのスタンプラリーが中止になっちゃう。仕方ない。

『お願い、今すぐ雨が止みますように!』

あたしは手をぱんぱんと叩いて、心の中で強く祈ったんだ。
すると、先程までの雨が嘘のように、ぴたりと止んだ。
大成功ー!
やがて、陽射しが出てきて、優しい風が顔に当たる。
……気持ちいいな。
秋のぬくもりだ。

「なんだ? 雨が止んだぞ?」

突然の天気の変化に、小林先生はびっくりしている。
慌てている様子を横目に、あたしはきょろきょろと辺りを見回す。
遊園地の時は、誰かがあたしのお願いごとを邪魔したけど。
……今はいないみたい。
あたしはホッとする。
とにかく、これでスタンプラリーは中止にはならないよね。

「あとは、残りのスタンプを見つけるだけなんだけど……」

あ、そうだ。
ちょっと迷ったけど、あたしはお願いごとに頼ることにした。
お願いごとに頼るのはずるいかもしれない。
だけど、このままだと絶対に一番にゴールすることはできなくなっちゃうし。
それにヒントをもらうだけだから。

『お願い。残りのスタンプがある場所のヒントをください!』

あたしは目をつぶり、心の中で強く強く祈った。
すると、小林先生は肩を弾ませて興奮した様子で言った。

「えー。スタンプのある場所のヒントだが……」
「えっ?」
「なになに? ヒント!?」

その言葉に、あたしだけではなく、通谷くんたちも反応する。
注目を浴びた小林先生は、こほんと咳払いした。