考人とは幼なじみだった。
家は隣で、幼稚園も同じでその頃からよく遊んでいたんだ。
小学校に上がっても同じクラスが続いたりして、よく一緒に登校していた。
考人はその頃から足が速くて、明るくて元気いっぱいな男の子だった。
「考人、宿題してからあそぼー」
「マジでめんどくせぇ。つーか、なんで宿題なんてあるんだよ」
でも、勉強は苦手で、あたしはよく考人の宿題を手伝っていたんだ。
学校から帰ると、あたしたちは一緒に公園を駆け回ったりして思いっきり遊んだ。
時間を忘れて遊び過ぎて、帰るのが遅くなって一緒にお母さんたちに怒られることもあったけど。
あたしは次第に、考人のことを男の子として意識するようになっていったんだ。
周りの女の子たちも、恋というものをし始めていたから。
その頃のあたしには分かっていたんだと思う。
考人が、好きなんだと。
どうしようもなく好きだということに。
だって、あたしの視線が向かう先には、いつも考人がいたもん。
考人は、あたしにとって大切な存在だった。
あたしの見る世界で、考人は誰よりも色づいていたから。
これから先もあたしたちの関係は変わらないんだろうな。
いつものように部屋でそう思っていた矢先だった。
不可解な事故が起きたのは。
あの事故で、あたしは一瞬にして全てを失った。
大切な幼なじみも、何でも話せる親友も失った。
全部、全部、あの事故によって奪われた。
ほんと、一瞬だったんだもん。
まるで突然現れた、お化けのように。
あっという間に、いろんなことが変わってしまったんだ。
変わってほしいものも、変わってほしくないものも。
あの不思議な現象以来、事故に巻き込まれた大切な人たちは、あたしのことを何かと避けるようになった。
幼なじみの考人さえも……。
こんな状況に追い込まれたら、きっと落ち込むのかな。
でも、勉強もスポーツも、普通くらいだったけれど。
あたしはどんな逆境に負けない特別な力を持っている。
そんな風に思いながら、日々が過ぎていくと。
気がつけば、秋の遠足の日がやって来た。
5年生クラス対抗バスケットボール大会の前にあるから、先生たちはドタバタしていたっけ。
「今日は遠足……」
寝ぼけた頭のまま、身じたくを整えていると。
『すげえじゃん。杏のお願いごとは無敵だな』
ふと、まぶたに楽しそうな表情で笑う考人の姿がよぎる。
去年の春の遠足で、考人と同じ班になった時のことを思い浮かべた。
家は隣で、幼稚園も同じでその頃からよく遊んでいたんだ。
小学校に上がっても同じクラスが続いたりして、よく一緒に登校していた。
考人はその頃から足が速くて、明るくて元気いっぱいな男の子だった。
「考人、宿題してからあそぼー」
「マジでめんどくせぇ。つーか、なんで宿題なんてあるんだよ」
でも、勉強は苦手で、あたしはよく考人の宿題を手伝っていたんだ。
学校から帰ると、あたしたちは一緒に公園を駆け回ったりして思いっきり遊んだ。
時間を忘れて遊び過ぎて、帰るのが遅くなって一緒にお母さんたちに怒られることもあったけど。
あたしは次第に、考人のことを男の子として意識するようになっていったんだ。
周りの女の子たちも、恋というものをし始めていたから。
その頃のあたしには分かっていたんだと思う。
考人が、好きなんだと。
どうしようもなく好きだということに。
だって、あたしの視線が向かう先には、いつも考人がいたもん。
考人は、あたしにとって大切な存在だった。
あたしの見る世界で、考人は誰よりも色づいていたから。
これから先もあたしたちの関係は変わらないんだろうな。
いつものように部屋でそう思っていた矢先だった。
不可解な事故が起きたのは。
あの事故で、あたしは一瞬にして全てを失った。
大切な幼なじみも、何でも話せる親友も失った。
全部、全部、あの事故によって奪われた。
ほんと、一瞬だったんだもん。
まるで突然現れた、お化けのように。
あっという間に、いろんなことが変わってしまったんだ。
変わってほしいものも、変わってほしくないものも。
あの不思議な現象以来、事故に巻き込まれた大切な人たちは、あたしのことを何かと避けるようになった。
幼なじみの考人さえも……。
こんな状況に追い込まれたら、きっと落ち込むのかな。
でも、勉強もスポーツも、普通くらいだったけれど。
あたしはどんな逆境に負けない特別な力を持っている。
そんな風に思いながら、日々が過ぎていくと。
気がつけば、秋の遠足の日がやって来た。
5年生クラス対抗バスケットボール大会の前にあるから、先生たちはドタバタしていたっけ。
「今日は遠足……」
寝ぼけた頭のまま、身じたくを整えていると。
『すげえじゃん。杏のお願いごとは無敵だな』
ふと、まぶたに楽しそうな表情で笑う考人の姿がよぎる。
去年の春の遠足で、考人と同じ班になった時のことを思い浮かべた。



