手を繋いで、君と前を向く。

「ふざっ、けんな!てめぇも!俺と同じだと思ってたのに!所詮は違ったってことかよ!ふざけんじゃねーよ!」

「っ、……っ」


恨みをぶつけるように何度も俺を殴るこいつの力は弱まるどころかどんどん強くなっていって。

気が付けば胸ぐらを掴んでいた手は離され、地面に落ちるように転がる。

それすらも許さないとばかりに何度も身体を蹴られた。


「何で抵抗しねぇんだよ!やり返してこいよ!ふざけんなよ九条!」


こいつの事情なんて知ったこっちゃねぇけど、こいつもこいつでいろいろ抱えてるもんがあるんだなと思ったら、虚しくなった。

抵抗?するかよ。俺は変わるんだ。自分のために、家族のために、潮路の隣にふさわしい人間になるために。変わるって決めたんだから。


「……悪い。もう決めたんだ。俺は向き合うって。逃げ続けるのはやめるって。決めたんだよ」


まるで、それはこいつに言ったわけじゃなくて、自分自身に宣言したかのようだった。

もう何度やられたかわからないくらい、全身が痛い。

だけど、それ以上にこいつの悲痛に歪んだ表情に心が痛む。

別の出会い方をしていたら。もしかしたら、こいつとも違った関係だったかもしれない。

そんなことを考えて、フッと笑う。

すると、ヤツは気持ち悪いものを見たとでも言いたげに


「きめぇんだよ……ふざけんなよ!」


そう叫んで俺を捨てて逃げていった。