手を繋いで、君と前を向く。

久しぶりの家に帰り、わたしは部屋で荷物を整理する。
その時にスマホが鳴り、慌てて電話に出た。


「もしもし?九条くん?」

『家着いたか?』

「うん。今荷物整理してる」

『そっか。実は、母親の退院日が決まったんだ』

「え!おめでとう!」

『ありがとう。まぁまだ先の話なんだけどさ。それで、今度潮路のこと紹介したくて……』


突然のお願いに、わたしは息を詰まらせながらも


「よ、喜んで!」


とよくわからない返事をしてしまう。


『フハッ……なんだよそれ、どっかの店か』

「ま、間違えた……わたしも、九条くんのお母さんにご挨拶したいです」


吹き出した九条くんに恥ずかしくなりながらもそう伝えると、


『ん。ありがとう』


綺麗に笑ってくれているのが、声だけでもわかってわたしも自然と笑顔になった。