first date


 翌日、私はウェイトレスに戻って日常業務に努めていた。その日の昼下がり、いつものように俊矢さんは相変わらず派手な格好で喫茶モカに来店した。彼はいつもの場所、店内の奥のカウンター席に座った。私はお冷とおしぼりを持っていくと、「やあ」と彼は右手を挙げて私に挨拶した。

「ホットコーヒーとハニーキャラメルパンケーキで」

「かしこまりました。はちみつとキャラメルソース、たっぷりかけておきますね」

 私はこっそり耳打ちした。

「いいの?ありがと」

「マスターには内緒です」

「ねえねえ、小説出来上がったら読んでくれる?」

「ええ、ぜひ」

「じゃあ俺、頑張るね」

 彼は右手で拳をつくってやる気を見せた。

「あ、それとこれ、連絡先」

 彼は二つに折ったメモを私にくれた。そこには電話番号とメッセンジャーアプリのIDが書いてあった。

「あとでまた連絡ちょうだい。もし行きたいところあったら教えてね」

 つい一昨日まではウェイトレスと客というなんでもない関係だったのに、変なものだ。私にとって彼はただの気になる客のひとりだったのに、気になる男性になってしまったようである。

私はこの人を好きなる、と半ば確信めいた気持ちを抱いた。