それから、私は午後の授業に全く集中することが出来なかった。


今でも残る唇の感触。

生まれて初めてのキス。

唇に触れると、あの時の光景が鮮明に浮かび上がり、再び暴れ出そうとする鼓動を何とか鎮めようと、私は小さく深呼吸をする。


このまま夢見心地で今日一日を終わらせたい。

そんな考えが過ぎるも、それはダメだと直ぐさま思考を切り替える。


……そう。いつまでも浮かれているわけにはいかないから。

まだ、私達には大事な事が残っている。

それが解消されるまでは安心出来ないので、私は緩んだ気を引き締めるために背筋をピンと伸ばした。