黒縁メガネとワンピース

「ねえ。ゆう君は紺野さんのこと、どう思ってるの?」

気付けば口が勝手に動いていた。

あれ程聞くのが怖かったのに。

あまりに感情が昂ってしまい、つい踏み込んでしまった。

後になって後悔が押し寄せてくるけど、もう遅い。
ここまで、来たなら腹を括らなければと。

様々な考えがよぎる中、私は小さく息を吐いてから、真っ直ぐと彼を見据える。


再び流れる静寂な時間。

一秒一秒過ぎる毎に心拍数は徐々に上がっていく。


そして、段々と重い沈黙に耐えられなくなり始めた頃、ゆう君の深い溜息によって、ようやくそれは破られた。

「麻衣も俺にとって大切な幼馴染だ。だから、その気持ちはちゃんと受け止めようと思う。けど、それが恋愛になるかと言われれば、よく分からない」

そして、ついに聞き出せた彼の答えに、私はまたもや言葉を失ってしまう。

お互いが大切だと思える関係。

覚悟はしていたけど、いざ本人の口からそれを聞くと、胸が苦しくなる。

ゆう君が恋愛に興味がないことは知っている。

でも、今は関心がないだけで、紺野さんの気持ちを完全否定してる訳じゃない。

大切な存在であれば、尚更。

だから、私にとってゆう君の答えは、もうそれで十分だった。

きっと、それ以上の答えは、彼自身持ち合わせていないだろうから。
 
それだけで、私の心は今にも張り裂けそうで、少しでも気が緩むと涙が出そうになる。


「……けど、やっと分かったんだ。というか、気付かされた」

すると、不意にぽつりと呟いた彼の意味深な言葉に、私は顔を上げる。

「俺は……」

そして、真剣な表情でこちらを見据えてくるゆう君と、視線がかち合った。

まるで何かを訴えるような熱い眼差し。 

その瞳に捕らえられ、目が離せなくなり、私の鼓動は徐々に早さを増していく。