黒縁メガネとワンピース



もう、やだ!
早く戻りたいっ!!

折角ゆう君の隣に立てたのに。
その瞬間を噛み締める余裕なんて全くなく。
嬉しい気持ちよりも、恥ずかしい気持ちの方が圧倒的に勝り、今直ぐにでもここから逃げ出したかった。


「それじゃあ、恒例の記念撮影に入りますので、二人ともそこに並んで下さい。……あ、くれぐれも岡田君は去年みたいなことがないように!」

そうこうしているうちに、いつの間にやら司会者の手元にはカメラが用意され、所定の位置に立つよう指示された途端。
司会者は思い出したように、突然ゆう君を批難してきた。

「言っとくけど、あれは俺のせいじゃないぞ」

それに対して、ゆう君はうんざりしたような目で司会者を見返す。


そんな二人のやり取りを側から眺めながら、私は去年の記憶を掘り起こした。

そういえば、恵梨香が選ばれた時は二人ともかなり不機嫌そうだったから、写真撮影の時も司会者の指示を無視していたっけ。

お陰で不自然に距離が空き、誰が見ても険悪ムード漂う二人の写真は、廊下に貼られている歴代の人気選出者達の中でも異彩を放っていた。