黒縁メガネとワンピース

「……あたし、このイベント嫌い」

すると、期待に胸を膨らませている私とは裏腹に、隣に立つ恵梨香は渋い顔でステージを睨みながらポツリとそう呟く。

「そっか。もしかしたら、今年も女子は恵梨香になりそうだもんね」

そう。

ゆう君と同じように、揺るがない人気を誇る、絶世の美女恵梨香様。

去年の人気投票では予想通り恵梨香が選ばれ、ゆう君と肩を並べた時には写真に収めたいくらい興奮した。

けど、恵梨香自身は見世物にされている状況が心底苦痛なんだとか。

その気持ちは痛い程分かるので、今年も絵になる二人が並ぶところを是非とも拝めたいけど、彼女の心境を想うと何だかとても複雑。

「でも、あたし今年は加代が選ばれそうな気がするなー」

すると、突如投げられた恵梨香のとんだ発言に、一瞬動きが固まる。

「恵梨香様。それは流石に冗談キツくないですか?」

いくら海斗さんの力を借りたと言えども、素材があまりにも違い過ぎるし、モデル顔負けの恵梨香に敵うはずもなく。

そんなことは天地がひっくり返っても有り得ないと断言したら、何やら不服そうな表情で軽く睨まれてしまった。

「だって加代のこのメイド服姿は犯罪的な可愛さだし、私のクラスでも加代の評判聞こえてきたし、写真もかなりせがまれてたじゃん」 

それから熱く語り始める彼女の勢いに、私は徐々に押されていく。

確かに、改めて振り返ってみると評判は良かったのかもしれない。けど、だからと言ってそこまでとは……。

そんな信じ難い話にたじろいでいると、いつの間にやら一年の部は終了していたようで。

一際歓声が上がる二年の部に突入し、私は慌ててステージに目を向けた。