黒縁メガネとワンピース

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「お待たせしました!後夜祭のメインイベント、学年別人気発表の時間がやって参りました!」

煌々とライトが照らされている即席ステージ上で、真っ赤な蝶ネクタイを付けた制服姿の男子生徒が、マイクを持ってハイテンションに後夜祭の進行を取り仕切る。

そのテンションに応じて、集まった全校生徒の熱気が更に高まり、会場中に大きな雄叫びが響いてきた。

これまで歌にダンスにと、有志による様々な余興が繰り広げられた後、最後に行われるこのイベントこそが、本文化祭一番の山場。

そして、実は私自身も密かに心待ちにしていた瞬間でもあった。

何を隠そう、うちの学年の人気はゆう君で決まりだから。

学年別人気投票とは文化祭中で最も輝いていた生徒を男女毎に選出するもので、一般客と生徒で投票が行われ、去年の結果はどれを取ってもダントツ一位でゆう君だった。

その勢いは今年に入っても変わらずで、ゆう君がステージの上に立つのは、ほぼ確定事項だと思う。

だから、それを期待して、黄色い声を上げるゆう君ファンと一緒に、私はこの瞬間を今か今かと待ちわびていた。

あれから一度も会えなかったので、せめてステージ越しでもいい。

ゆう君の姿を一目見たい。

そんな強い思いで前席を狙おうとしたけど、全て熱狂的なゆう君のファンに陣取られてしまい、呆気なく惨敗した私は泣く泣く後列へと回った。