黒縁メガネとワンピース

何なんだろう。

どこか棘のあるような言い方に、胸の中がざわつく。

俊君に抱き止められたことが、そんなにいけなかったかな。

私が無防備過ぎるから?

そこまでゆう君は、私の事を心配してくれているということだろうか?

せっかくゆう君が来てくれたのに、釈然としない気持ちだけが残ってしまい、私は複雑な思いに自然と溜息が漏れた次の瞬間だ。


「加代ーーっ!」

遠くの方から私の名前を叫ぶ声が聞こえた直後。背中に思いっきり何かがぶつかり、反動で体が前のめりに倒れる。

「え、恵梨香!?いつにも増して激しいよっ!?」

時たま突進されるのである程度耐性は出来ていたつもりだけど、今回は大分興奮しているのか。

今までにない程の威力に受け止めきれず、私は声を張り上げながら不満を零した。

「やっぱり親友だよ。これも全部加代のお陰だよー!」

しかし、恵梨香の耳には全く届いていないようで。

興奮冷めやらぬ状態のまま勢いよく私に抱きついて来た。

「どうしたの?もしかして、海斗さんと上手くいった?」

この様子を見た限りだと、十中八九そうだろうと確信した私はやんわり尋ねると、恵梨香は満面の笑みで首を縦に振る。

「今度デートする約束したの。あのカイトと一日中一緒にいられるんだよ!凄くない!?」

そして、想像以上の朗報に私まで段々と気持ちが昂ってきた。

「おめでとう、恵梨香!これでまた海斗さんに近付けるね」

親友の恋が進展したという喜びに、晴れ晴れとしない気分が一転して、つられて私も興奮しながら恵梨香に抱きつく。