こうして、楽しいひとときはあっという間に過ぎ去り、自分の教室へと戻る頃にはもう良い時間となっていた。
「そろそろ帰るわ。俺は午後練あるし、海斗もこの後仕事だって言ってたから」
「分かった。今日は来てくれてありがとう。それと、見送り出来なくてごめんね」
本当は俊君を校門前まで送るつもりだったけど、タイミング悪く店番の時間が来てしまったので、私は申し訳ない気持ちに肩が下がる。
「そんなのどうでもいいから。それじゃあ、午後も頑張れよ」
そんな私の頭をくしゃくしゃと優しく撫でて白い歯を見せながら微笑む俊君。そのエールに応える為、私は満面の笑みで大きく頷いた瞬間だった。
「……加代?」
ふと目の前に現れたある人物に、表情が固まる。
そして、声を掛けてきた向こうも、同じように私を見て固まった。
その異変に気付いた俊君は訝しげな目で背後を振り向いた途端、彼もまた同じように動きが止まる。
そこから流れる妙な沈黙。
「ゆう君、来てくれたんだね」
とりあえず、この微妙な空気を打破しようと、私は直ぐさま笑顔に戻ると、彼の元に近寄った。
「……驚いた。おまえ、変わり過ぎだろ」
そして、ようやく口を開いてくれたゆう君は、少し戸惑った表情になり、私から視線を逸らす。


