黒縁メガネとワンピース

私は暫くその場で一人佇み、ただひたすら二人の背中を呆然と見つめる。

紺野さんは、きっと悪い人ではないと思う。

好きということに真っ直ぐで、自分に正直な人で。
強い心をもってゆう君の側にいる。

そんな紺野さんを、私は嫌いになるどころか、むしろ尊敬したいくらい。


そして、あの二人から感じる深い繋がり。

ゆう君がいう“話”とは一体何なのか。

おそらく、それが二人を結びつける何かだとは思うのだけど、流石にそこまで踏み込むことは出来ない。

ようやく、ゆう君の前で堂々と出来る自信がついたと言うのに、紺野さんとの間にある“何か”を見せつけられたようで、私は一気に意気消沈してしまった。


…………だけど、ここで引き下がるわけにはいかない。


だって、そんなの恵梨香から話を聞いた時に、薄々感じていたことだから。

それを目の当たりにして、精神的に辛いけど、それで諦められる恋じゃない。

ここまで来るのに、私は沢山の人に背中を押されてきた。だから、自分の気持ちを伝えるまでは絶対に諦めたくないし、もう自分の弱さには負けたくない。

そう心に誓い、空を見上げて自分に言い聞かせる。

強くあれと。


それから取り巻く不安やら劣等感やらを全て振り払い、私は気を取り直してから持ち場へと戻り、再び文化祭準備に取り掛かったのだった。