黒縁メガネとワンピース

彼女の気持ちは痛い程分かるけど、話すことさえも許されないのは納得がいかない。

だから、紺野さんみたいな気迫は出せなくても。例え声が震えてしまっても。

自分の中での精一杯の強気な姿勢を見せて私は彼女に抵抗する。

「別に。そこまで咎める権利、あたしにはないし」

すると、てっきり怒号が飛んでくるかと思いきや。

意外にもあっさりとまっとうな返答をされてしまい、身を強張らせていた分、拍子抜けしてしまう。

「ただ、前にも言ったけど調子に乗らないで。佑樹の側にはあたしがいるってこと忘れないでよ。あんたは知らないでしょうけど、あたしには佑樹が全てなの」


しかし、安心したのも束の間。

今度は更なる気迫を纏いながら深い意味を込めて言われた台詞に、私はどう反応すれば良いのか分からず、その場で狼狽えてしまった。

「その話はいいだろ。悪かったな加代、またな」

そして、収拾がつかなくなったこの場を、ゆう君は強制的に終了させると、紺野さんの腕を強引に引っ張り、踵を返して来た道を引き返していった。