黒縁メガネとワンピース

昔からどちらかと言えば目立つことが嫌いなゆう君。
けど、容姿が良いだけに、こうして本人の意思に反して表に出されてしまうのは相変わらずなんだと。気の毒に思う反面、昔と変わらない境遇に失礼だとは思いつつも笑いが止まらない。

「そう言うお前のところは何だよ」

そんな私を終始不機嫌そうな目で眺めながら、何気なく尋ねられた質問に、ぴきりと表情が固まる。

「うちはメイドカフェだよ。当日、メイド服着なきゃなんだよね」

そして、遠い目をしながら答える私。

今そのメイド服を必死に作っているのだけど、正直自分は着たくない。
デザインは申し分ないけど、フリルが多い服なので、出来ることなら避けられる方法はないかと。最近そんなことばかり考えてしまう。

「いいじゃん。俺、加代のメイド服見てみたいわ」

すると、何故か妙に期待を込めた眼差しを向けられてしまい、更に動きが固まってしまう。

ゆう君にメイド服を見られるなんて、想像しただけでも恥ずかしくてこの上ない。

最近ようやくワンピースが着れるようになったと言うのに、メイド服は流石にハードルが高過ぎる。

「わ、私はあまり見られたくないんだけど……」

興味を示してくれるのは嬉しいけど、それ以上に恥ずかさが勝り、私は視線を足元へ落とす。

「店番の時間分かったら教えろよ」

しかし、こちらの意見はお構いなしと。ゆう君は強引に話を進めて私の顔を覗き込んだ。

彼が来てくれることは願ったり叶ったりだけど、何だか揶揄われているようで素直に喜べず、不服な目で彼を見上げる。