黒縁メガネとワンピース

タイミング良く、こちらの方を振り向いてくれたゆう君。

かち合った視線。

こっちに気付いてくれた喜びに、私は興奮する気持ちを抑えながら、口元を緩ませ、周りには気付かれないように小さく手を振った。

すると、ゆう君は作業を中断させて、私達の方へと向かって来たので、私は慌てて動かしていた手を引っ込める。

「え?王子がこっちに来る!?」

「な、なんで?」

他の女子二人も動揺を隠す事が出来ず、その場で狼狽え始める中。
私は気持ちを落ち着かせる為に小さく深呼吸をしてから、同じく彼の方へと歩き始めた。

「部活の時間にゆう君がいるの珍しいね」

それから、ちょうどペンキと木材エリアの境で落ち合ったところで、私は首を横に傾げる。

「俺らは普段手伝えないから、こういう時だけ協力しようって話になったんだよ」

気怠そうに話すところを見る限りだと、ゆう君もあまり文化祭には乗り気ではないのか。

自分との共通点を見つけ、少しだけ心が舞い上がった。

「そういえば、ゆう君のクラスって何やるの?」

「うちはお化け屋敷。俺は強制的に客引きにされたけど」  

「それはもう宿命だね」

そう不貞腐れ気味に答えた彼の話に、私は思わず吹き出してしまう。