黒縁メガネとワンピース

◇◇◇





「……ふぁ~」

「また一段と眠そうね」

先程から欠伸が止まらない私を隣で眺めながら、おにぎりを頬張る恵梨香。

「うん、数学の課題がなかなか終わらなかったから」

本当は、それだけじゃないけど。

……と、心の中で付け足しながら、私は伯母さんが作ってくれたエビピラフをぱくりと口へ運ぶ。


昨日初めて聞かされた、海斗さんの心の闇。

いつも笑顔でいる裏側に、あんな苦しみを抱えていたなんて。

私にも忌まわしい過去があるように、海斗さんにも消したくても消せない過去がある。


……もしかしたら俊君だって。


そう考えると、私はあの二人について、まだまだ知らない事だらけなんだと改めて思う。

いずれにせよ、昨日の一件で私は海斗さんにまた一歩近づけたような気がして。

これからも、もっと二人の事を知れたら良いなと期待に胸が膨らんでいく。


「こらっ!また意識飛んでる」

そんなことをぼんやりと考えながら遠くの空を暫く眺めていると、恵梨香に軽く小突かれ、はたと我に帰った。

「ごめん、つい。あ、そうだ。私恵梨香に報告しなきゃいけないことがあって」

それから、昨日の公園での出来事をふと思い出し、起きた事を全て話すと、恵梨香は目を輝かせて首元に抱き付いてきた。

「やったじゃん!それじゃあ、岡田と完全に昔の関係に戻れたってことだよね!?」

果たして、上手くいくのか。
若干の不安はあるものの、前に進むと決めた以上、マイナス思考はもう止めようと心に誓った。

「とりあえず、これからは変に怯えないで堂々としようと思う」

今はそれに尽きると。
私は力強く決意表明をすると、何やら真顔でじっと見つめてくる恵梨香。