静かな曲調のバラードが流れる車内。

その曲に合わせて、上機嫌に鼻歌を歌いながら運転する海斗さん。

一方、助手席に座る私は、せっかく流してくれているお気に入りだという曲はほとんど耳に入らず、終始硬直状態のままだった。


県道を抜け、交通量が多い国道へ入り、私達はある場所へ向かう。


その行く先は海斗さんの職場。


モデルの撮影現場だ。


生まれて初めての、尚且つ自分とは180度も違う人達が集まるきらびやかな場所。


その場所に私はこれから黒のジーパンと、グレーのカーディガンという。
相変わらずのユニコロスタイルで向かう。