雨をとじこめて


「りんご?」
と、空良くんが反応した。



「あ、板垣(いたがき) りんごといいます。県立高校の二年生です」

「可愛い名前」

「えっ!」



まさか、まさか!

空良くんに『可愛い』のお言葉をもらえるなんて!!

例え、名前に対してだけだとしても、私、それだけでずっと生きていけます!!



「あ、オレは安埜 空良(あんの そら)。宝良はオレの弟。……オレも高二なんだ」

「あ、はい! えっと……」

「あ、空良でいいよ。みんなそう呼ぶし」

「えっ!! あ、じゃあ、……そ、空良くん」



私の顔、赤くなってないかな。

ずっと片想いしていた人と、こんなに話す日が来るなんて。

今日はどうしたんだ?

ラッキーデイ?

ラッキーすぎて怖い。

大丈夫かな、私……。



「りんごちゃん」
と、宝良くんが呼んでくれる。



「はい、宝良くん」



笑顔で答えていると、私達が握ったままの手を見た空良くんが、
「宝良、りんごちゃんは本、読みたいと思うよ」
と、気遣って言ってくれるけれど、私としてはずっとふたりと話したい気持ちが勝っている。