雨をとじこめて


「……宝良(たから)、このあとどうなると思う?」
と、彼が男の子に聞いた。



宝良と呼ばれた男の子は、「う〜ん」と考えて、
「多分、ウサギさんは助かると思う」
と、絵本のページを指差し答えている。



空良(そら)兄ちゃん」



宝良くんは彼をそう呼んだ。



(空良くんっていうんだ……!)



思わぬところで情報を知れて、テーブルの下で小さくガッツポーズを作る。



(空良くん。……空良くん!もう、覚えた!!)



「空良兄ちゃんなら、ウサギさんをどうやって助ける?」

「えっ? オレ?」

「助けてくれるでしょう? 空良兄ちゃん、強いもん」



キラキラした瞳の宝良くんに、空良くんは苦笑いを浮かべつつ、
「んー、兄ちゃん、頑張ってみるよ」
と、宝良くんのほっぺを両手で挟んだ。



(なんて微笑ましい!)



美しい兄弟愛を目の当たりにして、私はもはやふたりに釘付けになっていた。

すると、宝良くんと目が合ってしまった。



(あっ、やばっ)