「でもね、りんご。あんたが一途なのは、彼に対してだけじゃないじゃん」
「え?」
「本に対してだって、ずっと一途に好きだったでしょう?」
「……」
「好きなことに一途なりんごは魅力的だよ。彼のせいで、りんごの好きなことを手放すのはやめて」
「でも」
と、私は言った。
「図書館に行ったら、空良くんに会っちゃう」
日菜乃は頷く。
「つらくても、行くべきだよ」
「……つらいよ」
黙って聞いていた実乃理が、
「なかったことに出来るの?」
と、尋ねてきた。
「そんなに一途に思っていたこと、読書も、彼への気持ちも、なかったことにするほうがつらくないの?」
「それは……っ」
その時。
スマートフォンが振動した。
《空良くん 新着メッセージあり 四件》
「りんご、ちゃんとメッセージ読んでみなよ。中途半端にしちゃダメ」
そう言う実乃理に、日菜乃も頷いている。



