「ご、ごめん。なるせ、成生くんだよね忘れたわけじゃないよ」
人はあまりの恐怖にさらされると重要なことまで頭から消えてしまうらしい。
成生くんのことが
一瞬でもわからなくなってしまうなんて…
「ベンタ……」
成生くんはわたしの様子を見て眉を寄せた。
「もういいわかった、ごめん。もうやめよう。おれがダリを説得してくるから、こんなゲーム棄権しよう。な、それでいいよな」
成生くんがなにを言っているかわからなかった。
恐怖一色の脳内にはかろうじて成生くんの名前を認識するスペースができたけど、それ以外の情報が入ってこない。
必死に理解をしようと耳を傾けていれば、横から強い力で腕を掴まれる。
『棄権はルール違反に該当する。説得も無駄だ。ゲームを放棄した場合、おまえらは一生ここから出られなくなる』
ポピィが感情のない声で告げた。
そのうしろには、ダリが無言で立っている。
『行くぞベンタ、3回目だ。
生きてぇんなら何回死んでも勝て』
強制的にベンチからおろされ
また舞台へと連行される。
ゲームは終わらない。



