「ぅ……っ」
痛みはないのに感覚だけが残っている。
鼻先が陥没し、空中に飛び出ていく眼球。
脳みそと頭蓋骨が同時に砕けてぐちゃぐちゃに混ざり合う。
全部全部、わたしの体が記憶していた。
気持ち悪い。
吐き気が止まらない。
『ベンタっ、大丈夫かい?』
すぐそばから声がした。
口もとを押さえるわたしを心配そうに見つめるのはモモだった。
ごめん、いま喋れないや。
とりあえず目だけで笑ってピースを見せる。
『無理しないでよ。
すごく震えてる…怖かったね』
モモがわたしをそっと抱きしめた。
優しいにおいに包まれると、こみ上げていた胃液が落ち着いていく。
「モモ…わたし、いったい」
『ベンタ様は死にました』
答えたのはダリだった。
いつのまにそこにいたのか。
怯えるわたしを見て
ピエロの仮面が笑っている。
そしてなぜかダリは自身のハットではなく、わたしのうさぎ帽をかぶっていた。
全然似合ってないし。
成生くんに投げつけたはずなのになんでダリが持ってるのさ。
『ベンタ様は死んで生き返りました
ひとまず、1度目のチャレンジは
失敗ということですね』
機械的な、それでいて愉しげなトーンに嫌悪感が湧く。
モモの体に隠れるみたく顔をうずめた。



