「ねぇ成生くん。
どうしてわたしの名前をベンタにしたの?」
小さな声でたずねた。
名付けた本人はこちらを見ることもせず答える。
「べつに。深い意味はないよ。
頭に浮かんだからそれにしただけ」
「な、なるほど…?
ちなみにそのベンタってなんなのかな。食べ物とか?」
「なんだったかな。思い出せない」
ふと視線が重なる。
「思い出せないけど、この世で2番目くらいに好きってことは、おぼえてる」
好きも嫌いもなさそうな成生くんの、2番目。
それってきっとすごいものだし
1番ではないのがなんとも彼らしくて笑ってしまった。
「わたし、ベンタって名前ちょっと好きになれたかも」
「へー。おまえは2番目の女で満足するタイプか」
「ちょっ、なんでそうなるの!
成生くんひねくれすぎ!」
「2番目で嬉しそうなおまえが単純すぎ」
「じゃあ1番にしてよ!」
「鈍い奴ってよく吠えるよね」
並んで言い合えばただのクラスメイト。
どこにでもいる平凡な高校生。
そんな少年少女を引き連れ歩くは
色鮮やかな道化師たち。
その光景を見た影たちは
がらんどうの頭の中に
どこかパレードを浮かばせた。
辿り着く先が
地獄とも知らずに



