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軽快な音楽の中に複数の足音がまざる。
最初のゲームを行う場所へ向かう道中
あらためて園内をぐるりとながめて驚いた。
人がいない。
見渡すかぎりのたくさんのアトラクション。
絶叫マシンが動くたびに悲鳴が聞こえるし
ぷかぷか浮かぶる白鳥のボートには親子が乗っている。
キャッチーなデザインをしたクマの着ぐるみにハイタッチをするこども。
カップルがコーヒーカップを仲良くまわしている。
しかしそのすべてが人間ではない。
表現するなら、人の形をした影。
ぼんやりとした影のようなものが動いているだけだった。
「なんか、虚構っていうより
最低限に用された"モノ"みたいだな」
隣を歩く成生くんがつぶやいた。
言いたいことはわかる気がする。
こんなに物質が溢れているのに、人間特有の温度みたいなものはいっさい感じられなくて
この遊園地すら、これから起こる未来への舞台装置に思えてしまった。



